本を読んだ34/フィンランド 豊かさのメソッド

フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453))

フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453))

フィンランドに最近留学した女性が 自身の体験を織り交ぜてフィンランドについて書いた本
フィンランドとはどんな国?というところから始まって 最近話題のフィンランドの教育や福祉についてなど 詳しく書かれている
これまでも似たような本は数多くあれど この本は特に読みやすくわかりやすく そして掘り下げてある
ここまできたのなら もっともっと掘り下げて分厚くしてほしかったと思うくらい


先のカウリスマキの映画で多く語られる 失業者の話
この国でもかつては多くの国民が失業を経験し 閉塞感たっぷりの時代を経てきた
今のフィンランドがあるのは その時代を乗り越えるために焦点を当てた政策のおかげだろう
大規模な効率化には痛みも伴ったであろうが そのお金は教育や福祉に“透過的に”あてられ 人生で最も大事とも言える子どもの教育が平等に 格差なくできる社会にした


フィンランドでは基本的に勉強にお金はかからない
よっぽど特殊な勉強をしない限りは入学試験もない 勉強をはじめ 勉強を終える年齢もあくまでも目安であって 個々の成長とともにそれを遅らせたり早めたりすることも普通
やり残した勉強や新しく始めたい勉強があることに気づいたとき いつでも迎えてくれる学校がある
社会に出るのに重要なのは学歴ではなくその中身 だから就職活動に最も必要とされるのは「希望する仕事と関係のある勉強をこれまでしてきたか」ということ どんなに名のある大学を出ても “出た”だけでは意味がない


おもしろかったのは フィンランド人と日本人の多くある共通点や
これだけ外から(私から?)羨望のまなざしを浴びているにもかかわらず 中の人々はそうでもないと思っていることも多いこと
充実した養育手当のおかげで学生結婚も多いとか あの極寒の地で赤ちゃんを外で昼寝させ その間に親は温々とティータイムをとる、などなど…


基本情報から“なるほどー”ってことまで 楽しく読めました