うるるんフィンランド−9日目(5/30)

さようなら

昨晩 トイレで寝てしまったIrja
明け方一人で起きて キッチンを片づけ 再び眠ったらしい
初めてのことじゃないのは 間違いない


朝になってもお酒の香りが漂う 我がコテージ
既にKuressaareの見どころはみつくした感があるが 今日がここで過ごす最後の日 少しだけ街へ出る
ドライバーのJaanと別れ 青空市場へ行くと 市場のJaanが今日も穏やかな笑顔で迎えてくれる
今日は思い出に、と二人が私たちに一つずつ、ここでの思い出をプレゼントしてくれた


買い物をしてビール 何気ない毎日がどんなに豊かだったのか 最後が近づくほどその想いがつのる 
最初は飲み干すのが大変だったビールも 今日ばかりはいつまでもなくならなければいいのに とすら思う
ビールの後のスーパーマーケットも今日が最後
いつものカートが置いていないことにピン!ときたIrjaは 混んでいるレジカウンターもなんのその 割り込み割り込んで店員に文句を言う
それをなだめるのはいつもEinoの役割 アジア人を連れた老夫婦は 小さな街で有名になったかな


二人だったらそんなに入らないだろうに 最後だからとEinoは今日もサウナを用意してくれた
昼食ではIrjaが早くも酔いながら(というか、ここ何日かずっと酔っている)“思い出に”と歌を歌い出した
あぁぁぁ よりによってなんて悲しげな歌 ほんの1フレーズがそれ以来 頭を離れない
そしてEinoが「ヘルシンキになんで行くんだ あと3日ここにいればいいのに 二人がいなくなるなんて考えられない・・・ 寂しいよ」
ぐぁぁぁぁぁ 1日前から私の中の“笑顔でお別れ宣言”はもろとも崩れた
走馬燈とはこのことね たった10日間の内容がいかに濃く お互いの存在がいかに大きく どれだけの影響があったのか 容赦なく襲ってくる思い出の数々に 完全にノックアウトされた


再び腰がたたなくなったIrjaをのぞき サウナ&ビールを堪能した私たち
この景色 この空気 全てが名残惜しくて 最初あんなに嫌がっていた蚊もお構いなく 写真を撮ったり うろうろ歩いたり 
あと少し もう少し 




陽が傾いた頃 おっとさんが あきらめかけていた日本食つくりにとりかかった
電気コンロに苦戦し 頑張ってくれたおっとさん できてきたのは おにぎりとみそ汁
コーヒーカップに入ったお麩とわかめのみそ汁に しそおにぎりと鮭おにぎり
「おいしい!」とぱくぱく口に入れていくIrjaと対照的に おっかなびっくりなEino
おにぎりもEinoは最後までフォークを放さなかった やっぱり手づかみは抵抗あるか
日本食をほんの少しも食べたこともない二人にとって それはそれは新しく珍しい食事だったと思うけど 全部食べてくれて嬉しかった!
久々の日本食に私も嬉しかった!

少し悲しくなった昼 楽しい思い出ができた夜
素敵な最後の晩餐だった