本を読んだ51/フラニーとゾーイー

なつやま


フラニーとゾーイー (新潮文庫)

フラニーとゾーイー (新潮文庫)


字面を追って読み進めると なんとも難解で頭の上のうえーの方を文字が走るような感覚になる
けれど伝わってくるところはその字面とは少し離れたところにあるみたい


NYに住む7人兄弟の 末の2人、ゾーイーとフラニーを中心とした短編2編をあわせたもの
他の兄弟を主人公とした短編も出ている
年の離れた2人の兄の影響により「畸形」になったと主張するゾーイー
幼心にたたき込まれた兄の哲学に翻弄され コントロールできなくなってしまった自分の気持ちを嘆きつつ 今日も心に秘めた思いが秘められずに口からあふれる
そしてそれは妹のフラニーにも


読んでいると 特にゾーイーの章に関しては“もうちょっとやり方を変えられないのか”と思う節もあるのだけれど 特にフラニーの章を読むと その抑えきれなくなってしまう心もわかったり
ラニーの章で少し理解できると思ったことが ゾーイーの一言ではっとさせられることもある
宗教観についてはともかく きついながらもずばりと当を得た言葉が多々あり
特にフラニーの悪態の矛先をたしなめるゾーイーの言葉には はっとさせられることがあった


どんな発言であれ
幼きから寝食ともにした家族のことば 他人には決して伝わらない思いの丈がそこに含まれていること
家族だけにしか伝わらない 愛の形があるのだろう