スペイン&モロッコの旅−最終日&エピローグ(6/1〜)

結局、空港についたのは21時を過ぎた頃だった
チェックインをしようとターミナルをうろうろするんだけど
いけどもいけどもAEROFROTのカウンターがない!!
端から端まで歩いても見つからなくて infoの人に聞いたら
新しくできたターミナル4だった!!!
ガイドブックにもまだ出ていないターミナル4。そういえば到着の日もやけに新しいターミナルだったぢゃないかっ


あわてて巡回バスに乗り込み、ターミナル4へ
そこでも端っこの端っこ 人気のない場所にカウンターがある
やる気のないスタッフにチェックインをお願いし 出国
あっけないもんだ
寂しい思いももちろんあるけど それ以上にくたくただった
それくらい中身の濃い濃い旅だったのだ


出発ロビーは離れたところにあるため、シャトルに乗るはずだった
が、そのシャトルが壊れたらしい!!
すでにホームにあふれんばかりの人 ここに来てトラブルか…
出発時刻を過ぎても一向に回復する兆しもなく、トランプを始める人なんかもいたりして
1時間はゆうに待たされたでしょう 少しずつ 非常口のようなところから人が流れ出した
あきらめ半分の私たちは その人の波の最後尾に陣取り そのときを待つ
最後の最後でシャトルが動き出し なんとか出発ロビーへ
当然皆同じ状況だと安心したのもつかの間、 カウンターへ行くと「お前達が最後だ!!早くしろ!!」と怒鳴られる
のんびりしているのか せかせかしているのか…


とにもかくにも出発ね、と機内に乗り込むと、3人掛けの席の端に男性が一人
空いてるからあっちへ行け、と言われる
まあ、確かにね、と納得し、空いていた最後尾に近い席に腰掛ける
……
なんか空気がおかしい
隣を見るとカップルが真ん中を1つ空けて座っている 空いた席には毛布が
と、毛布がもぞもぞ動く 続けて「う〜ん...う〜ん...」とうめき声
うめき声?!
思わず向けた視線の先に、毛が見える 毛髪?動物の毛?!
いやいや、あのうめき声はどう聞いても人の声だ。
両脇の男女がそのうめき声をあげるその“人”を力ずくで押さえつけ、毛布で隠す。ひ、人殺し?!人さらい?!!!
な、なんなのなんなの?!とありったけの思考回路でこの状況を把握しようとする二人
無賃乗車だ、人身売買だ、麻薬依存者だ、病気を抱えた子どもだ…
青ざめていると 女性がひじまである長く黒いナイロンの手袋をおもむろにつけ始めた
そして座席のポケットからガムテープを
な、なにを?!と思ったら
その“人”の目と口と手と足を縛り始めたのだ
さすがにこの頃になると、機内のほとんどの人がこの異様な状況に気づき始める
不運なことに、行きと同じ、あのロシアの音楽隊が乗り合わせていたもんだから、もう大騒ぎ
半分怖そうに 半分興味深そうに トイレに行きがてらその光景に目を見開き、そして仲間に報告する
私たちの前に座っていた親子は飛び立ってすぐ 席を移動してしまった
私もあまりの動転に一時気分が悪くなり とまらない震えを抑えにトイレへ行く
前の若者はともかく 私たちは隣で何もかもがよく見える そしてそんな私たちを監視するかのように、ちらちらとこちらを見る男女二人
「とにかく絶対目をあわせるな あっちを見るな」と二人で話し
それどころじゃないのに「スペインさようなら〜」とのんきに窓の外を眺めて知らんぷりのふりをしてみたり
それでもやっぱり辛くて 1席でも前へ、とすぐさま席を移動してしまった


いったいなんだったんだ?!
最後の最後にこんなことに巻き込まれて 私たちは無事に日本へ帰れるのか?!としばし途方にくれた私たち
結局その動く“人”は、その後眠ったのか眠らされたのか、全く動かなくなり、それに伴い男女もリラックスし始めて、機内も、私たちも少し落ち着いた
途中、前方の席に年輩の日本人夫婦が一組いて、ご主人がトイレにたった
私たちは少しでも気持ちを落ち着けたくて すぐさまその人に声をかける
この出来事を話したかったんだけど うまく話せなくて 世間話をして別れる それでも救われた気がした


フライトアテンダントが彼らの状況を承知し、話を交わしていたことからして、もしかしたらそれほどやばいことではないのかも、行き着いた結論は、「強制送還」。縛られていたのは高校生くらいの若い女の子だった
暴れるからやむなく行った処置なんだろうが、それにしても凶暴すぎる…
このときほど恐怖を感じたこともなかったし、思い出すと今、このときでも少し手が震えるし、何よりもあれ以来、ガムテープが怖くなった


結局この事件で、私たちはすっかりロシアへ行くことが怖くなった
機内でたてようと思っていたモスクワ観光プランも おっとさんはかろうじてガイドブックを開いてくれていたが
まったくもって意気消沈
とりあえず ビザがあるので空港の外には出てみよう でもその後はそのときの気分で決めようということにした


トランジットで待たされる空港の中と、入国前の空港のロビーは雲泥の差だ
きれいだし 明るい
TV放送もしているし、カフェも多い
800円分だけルーブルに両替をし、ちょこちょこと買い物をしながらうろうろする
でも、やっぱり12時間は長かった!
外の空気に触れるくらいはしたけれど 後は出発ロビーと到着ロビーを行ったりきたり。一番安いヨーグルトを通算5個くらい食べてしまった


12時間後、疲労困憊の私たちは、ようやく成田行きの飛行機にのりこむ
ロシア観光を満喫したツアーの方々が何十人と同乗
すぐに日本に引き戻されたような気がして複雑だった


〜収穫〜
今回、私たちが購入した品を少し

バブーシュベルベルタイプ)

石鹸。奥にあるのは、軽石と同じ使い方をするんだって

ろうそくスタンド

なんとなんと、小さいのはつまようじに、大きいのは歯磨きに使うんだって!