スペイン&モロッコの旅−5日目(5/26)

濃厚なフェズでの日々を終え、次の街へと出発です。
7:30AMの国営バスCTMに乗るため、バスターミナルへ。残念ながら朝早いため、昨日のサンドイッチを食べられませんでしたが、アラビアパンとヨーグルトドリンクと、コーヒーとお水を買う。こっちではコーヒーにはミルクを入れるのが普通のようで、ブラックにしてくれ、と頼むと結構変な顔をされる。「お前、本気か?」といいたげなので、ますます強気になってくる。
このターミナルは私達しか乗らないみたい。昨日ハッサンが席を変更してくれたおかげで、前も横も、景色をひとりじめだ!

国営バスのあたま


昨日の門の横を通り、王宮の横を通って新市街へ。新市街はやっぱり雰囲気が違う。

旧市街にはまったくなかった看板
新市街の洗練されたバスターミナルで10人くらい乗客が増え、いよいよシャウエンへ出発!
目の前にはどんどんと山が広がってくる。
朝だから、学校へ向かう子ども達、放牧へ向かう子ども達がたくさん。その奥には整列した一面のオリーブの木


時々小さな街を通りすぎ、山道とはいえ舗装されたまっすぐな道を通りながら、ぐんぐん進む。
乗ってすぐトイレに行きたくなった私は、40分くらいたつとやや冷や汗。でも1時間後、やっと休憩になりました!
休憩所はバス・バス・バス!ありとあらゆる種類のバスがとまっていて、人もたくさん、お店からは煙がもうもうとあがってる。

トイレに一目散の私でしたが、途中でお店のおじさんが「うちのトイレを使え!」というもんだから、近いし、迷わず針路変更。1DH渡してモロッコトイレで復活。
ロッコトイレは日本の公衆便所(和式)と似ています。ティッシュと流すところがないってだけ。だから意外にも落ち着くのです。
後で聞いたら公衆トイレは相当汚かったみたいで、結果オーライでした。
おっとさんは大好きなホットサンドイッチをここでGETし、再びバスに乗る。
いよいよ本格的な山道です。
実はこの旅で私が一番心配していたのは、このバス旅でした。
どうもこちらの人は乗り物に弱いらしく、船にもバスにもすぐ酔ってしまうそうなのね。。。
私はあれがどうしても苦手で、それだけは勘弁してくれ〜って一人叫び続けながらこの旅に出発してしまったので、びくびくしていました。
が、出発して4時間、ついに何事もなく!次の街が見えてきましたよ〜!!!!このときの嬉しかったことといったら!

シャウエンは、二つの山に囲まれた、不思議な街。バスターミナルのそばはスラムのようで、急な坂も多いし歩くのにおすすめという雰囲気でもないのですが、タクシーで5分も入ると、あっという間にメディナに到着します。こじんまりとして、にぎやかな街。明るい街。警官もいて安全そう。ラピュタみたいに空に浮いているみたいな感覚を抱いてしまうような、かわいい街。日本人をはじめとした観光客に人気のある街です。人気がある理由の一つは、街が青いってことです。青い天然の塗料を使用して、壁をきれいなブルーに塗っている。

早速宿へ向かう。テラスがある宿がよかったので、PENSION LA CASTELLANAに行ったら空いていたので一発OK!
景色のいい部屋にしてくれて、ダブルが100DH。安い!
宿もやっぱり青い。

まずはテラスにあがり、シャウエンに来たことを実感してから、街へ出てみる。
広場からちょっとあがったところにあるRESTAURANT TISSEMLALでランチ。
りっぱなつくりのお店で食べたランチは、絶品!ここのハリラはたまんなかった!


お腹もいっぱいになり、街を歩きます。
北東部に、城壁を伝っていくと景色のいい場所に出られるよ、と宿の兄さんに教えてもらっていたので、そこを目指しました。
近づくと、たくさんの子ども達!小学生以下の小さい男の子から高校生くらいの男の子まで。
みんなサッカーしてるなあ。と見ると、ドッチボールや、まったく空気の入っていない、半月姿のボールを使ってる。
一様に、夢中で楽しんでる。
北澤元選手は、今カンボジアで子ども達にサッカーを教えたり、道具を寄付したりする活動をしているそうです。
フェズでもボールが一つあればみんなと友達になれた。私達は残念ながらサッカーをちゃんとプレーした経験はなかったけど、例えば学生時代にサッカー部だった人なんかがこうした国にサッカーボール1つ持って来るだけで、どれだけの子ども達を幸せにしてあげられるのだろう、と思った。
私はサッカーボールをもってきてあげることくらいしかできないけど、是非サッカーに汗した経験のある人は、こうした街にサッカーボールをお土産に旅してみてください。
小さな1人の日本人でも、他の国でたくさんの人と幸せをシェアすることができる。日本人だからこそできることを考えさせられました。


さて、城壁をつたってだいぶのぼると、小川が見えてきました。
そうそう、モロッコは水道水が一応飲めるようなのですが、山間にあるここシャウエンは、特にお水が美味しいらしいんです。
レストランで買ったペットボトルを持っていた私達は、小川の水を少しもらおうと、上へ向かいます。

水の入り口へついて、きれいだなあと水を見ていると、少年が一人やってきました。
言葉は通じないけど、私達がペットボトルを振って見せると、それをひょいと手にとって、川へおりていきました。
すかさず後をついていくおっとさん。
少年は私達のペットボトルを丁寧に洗い、満タンに小川の水をくんでくれました。
その水のおいしいことといったら!どのミネラルウォーターにもかないません!嬉しくて、しばらく道行く人に自慢しながら歩く私達。ありがとう少年!


シャウエンまで来ると、だいぶスペインにも近くなり、スペインからの観光客がたくさんくるせいか、みんなスペイン語で話し掛けてきます。
つまり、3ヶ国語がとびかっている!となると私達は混乱。話し掛けられた人に「スペイン語を話すの?」と聞いてみますが、ほとんどが「ポキート(少し)」とかえってきます。
どうやらアラビア語とフランス語はネイティブだけど、スペイン語は全て実践で覚えていったらしいんですね。商業用。
とはいえ、子どもから大人まで、多くの人が話せたのはびっくりでした。


途中、お土産屋を見て回ります。
アンモナイトやデザートローズがたくさん売ってる!
びっくりしたのは、お店の人が全く声をかけてこないこと。それどころか、お客さんが来たことに気づく様子もなく寝入っていたり。だからディスカウントもしづらい。なんか調子くるっちゃう。そのうち、興味もうせてくる。
結局、感じのいいおじさんと、英語がぺらぺらで同じく親切丁寧な若者のいたスパイスのお店で大量購入。
思ったより安かったので、ディスカウントを要求しないでみたら、びっくりするほどたくさんのものを“Giftだ”といってただでくれた。これっていい!!


疲れたし、広場Plaza Uta Hammamのカフェへ。カフェとカスバに囲まれたこの広場で、一番地元の人が多い店へ入る。
最も愛想がなくて、でも最も人の多い店。決してきれいではないし、勧誘もまったくないけど、最も雰囲気のいい店。
私達が入ると一瞬全員の視線が集まるが、気がつけばなじんでいる。頼むのは、もちろんミントティー&オレンジジュース。
通りに面した席に座って夕方の時間をのんびりと過ごす。
広場にはジュラバを着たおじいさんが集まってくる。
と、目の前を通った幼い子どもが"Ola!"と声をかけてきた。やっぱりスペイン語だ。"Ola!"とかえすと、まだ何か話したそう。うーん、スペイン語じゃ私からきりだせないぞ、と思っていた次の瞬間、少し離れた席に座っていた大人が子ども達になにやら叱った。子どもはしょうがなく手を振って去っていってしまった。
実は、こんな光景が今日1日でほかにもあった。声をかけると笑顔で答えてくれるけど、何か距離感を感じる。
ここはかつて聖職者の街だったといわれている。そこに街の美しさからか、いつからか観光客が集まり始めた。
観光地となることは、収入源として悪いことじゃないし、時の流れとともに受け入れるしかなかったのだろうけど、文化も習慣も違う人々を目の当たりにして違和感を感じることも多かったんだろう。
大きなカメラを肩にさげ、肌をあらわにし、大きな黒いサングラスをかけた人々が集団で押し寄せる。自国ではお店に入るときに挨拶するのが当たり前だろうに、ここで会う観光客は一様に口を開かない。あのぴりぴりとした雰囲気が地元の人にも伝わるのだろう。勧誘の声がかからない、気楽なところがこの街のいいところだと言うのがこの街の人気のもう一つの理由だけど、私には「観光客」であり「外国人」である自分の存在について深く考えさせられた、そんな街だった。


目の前のカスバが18:30までだというので、18時頃に入ってみた。
中でも一番高い塔は上にのぼれるようなので、行ってみることに。
見晴らしのいいその場所は、ちょっとした広場のようになっていて、地元の高校生らしき若者が楽しんでいた。
彼らにとって私達は遊ぶのにちょうどよかったんでしょう。"Ola!"で始まり、"Japanese〜""Nakata〜"とくる。
ところがさっきまで憂えていた私達、とくにおっとさんの目が輝いた!地元の、しかも若者と話す大チャンス!とばかりに飛びつく。ところがお互い言葉が通じないこと、相手もそこまで深入りしてくるとは思わなかったことからか、あまり話しがつづかず、若い者同士でにやにやするばかり。
しょうがないから、しばらく二人で写真やビデオを撮って楽しんでいたら、二度目のチャ〜ンス!
彼らが自分の知っている英語を、アラビア語とフランス語とスペイン語で教えてくれ始めた。私はちょっと輪に入りそびれたのと、男の子だらけなので、ここは男同士で、としばらく輪の外で聞くことに。
終始言葉はわからないけど、雰囲気で何を言いたいのかはなんとなく伝わるもので、途中で輪に入った私にもとびきりの笑顔で話し掛けてくる。
そんなすてきな彼らです。

一人がレストラン&絨毯屋の息子だったのか、途中で勧誘をはじめたんだけど、リーダー格の男の子がそれをやめさせようとする。そんな気遣いに純粋に感動する。本当に、人と人の出会いは素晴らしい!


夜は地元の人が集まるというレストランへ行きました。
坂の途中にあるこのレストランは、装飾がかわいく、値段も安く、店員も感じがよかった。(どこもそうだけど)
おつりをユーロでくれたのも、私達をきづかってくれたらしい。ディラハムでよかったんだけど、そんな気遣いに再び喜ぶ。


食後の一服に、夕方入ったカフェへ行ったら、さっきカスバで会ったレストラン&絨毯屋の彼がまたいた。空いた時間は勧誘をしているのかな、やっぱり誘われる。やっぱり断った。