スペイン&モロッコの旅−4日目(5/25)

PENSION HOTEL DALILAで目覚めたフェズの朝。
'04-05の地球の歩き方の地図では、まだ川になっていますが、今では埋め立てられて通りになった、その通りに面したホテルです。FEZ EL-BALI中央やや北よりに位置しています。
ダブル+シングルベッドのある広い部屋で一泊200DH。
目が覚めて窓を開けると、通りにたくさんの子ども達。どうやら近くに学校があるみたい。
ノートとペンを1本持って歩くたくさんの子どもの中に、ロバや馬に乗って通学する子もいる。朝からいい景色!


朝ごはんの前に、明日のシャウエン行きチケットを買おうと、バスターミナルへ行くことにする。
外へ出ようとすると、ホテルの下のレストランで、昨晩の英語ぺらぺらなモハマッドが待っていた!やっぱり私の言うことなんて聞く耳持たなかったんだわ。お願いだから勝手に動かせて〜っっと逃げるようにプチタクへ乗り込む。
滞在が何日もあれば話は別(かもしれない?)ですが、フェズにいられるのも今日だけ。やっぱり自分達で気兼ねなく冒険したいのです。


FEZ EL-BALIの西、元は民営のバスターミナルだったところにあらたにCTMのターミナルが加わったようです。ドライバーにも知らない人がいるので要注意。
着くと朝からたくさんの人!しかもみーんな男性!って当然か。注目を浴び、まだどきどきしながら中へ入り、CTMのカウンターを見つける。サングラスをかけて、強面なスタッフがいる。
強面だけど、話し出すと少しずつ表情が和らいでくる。フェズのことや彼のことをいろいろ聞いてみる。新市街に住んでいて、明日は休みだから夜踊りにいくか?だって。おもしろい。中にいたハッサン(強面のスタッフの名前)の友達とみんなで写真を撮る。写真を送るよ、っていったら、丁寧に慣れないパソコンで住所をうってくれた。

ターミナルの一角

ターミナルにはたくさんの売店が出ていて、軽食を食べることができます。
9時を過ぎたくらいから、サンドイッチも作ってくれます。ショーケースに生のひき肉やソーセージ、レバーっぽい肉が並んでいて、一つを選ぶと野菜と一緒に炒めてサンドイッチを作ってくれる。これがおいしい!この後、同じようなサンドイッチに何度も出会いますが、どれもおいしかったです。生肉に最初はどきどきするかもしれませんが、是非お試しあれ。もちろんカフェも味わえます。

ターミナルからブー・ジュルード門までは歩いていけます。
さあ、いよいよフェズのメディナへ行くんだわ!最大の迷路とも言われるフェズのメディナ。そもそもメディナ自体行くのが初めてなので、にわかに鼓動が高まる。

青空スークを通り過ぎるといきなり食品のスーク。わっ!羊の頭だ!それにすごい匂い。かなり緊張していた私はやや貧血気味になる。狭い道に人と店がひしめきあっている。木漏れ日がとてもきれい。

歩き始めて間もなく、昔聖職者のための学校兼宿舎だったという建物がでてきた。思わず入る。
中は観光客とガイドしかいなくて、それまでの喧騒が嘘みたい。一瞬ほっとする。それにしても、みんなガイドを頼んでるんだなあ。英語のガイドさんの団体にそっと近寄って、説明を盗み聞く。


この一休みが結構効果あって、そこからはだいぶ落ち着くことができた。と同時に楽しみ始めることも。
落ち着くと、さらに色んな声が耳に入ってくる。「ジャポン」「こんにちは」
ロバが目の前を通過したり、後ろからすごい勢いで追い越していったり!


ひたすら歩いていると、食品から繊維のスークへとうつっていったことに気づく。そこへ、一人の男性が「フェズが一望できるところに連れて行ってあげる」という。あ、ガイドだ!と思ったけど、おもしろそうなので案内してもらうことに。
建物の屋上に着くと、外から見たメディナの景色が目の前に広がる。

ひとしきり説明をしてもらい、満足した後は、やはり絨毯屋へ。ベルベル人の高度な技術で作られた、非常に質の高い絨毯だと説明をうけ、横では青年が機織機で作っている。おもしろいけど買う気はさらさらなかったので、チップを渡してお礼を言って別れる。全然しつこくないので、楽しさと満足感だけが残った。


太陽も昇り、長い迷路を端から端まで歩きぬいたところでオレンジジュースで一休み。
小さな子どもがせっせと働いている。小さな店内に入ると、4-5歳くらいの男の子がさっと椅子を拭いて案内してくれた。ランチ前最後のお楽しみ、なめし革を見る前にここで休みながら通りすぎる景色をしばし眺める

さっ、フェズのお楽しみ、なめし革工場へ!


作業場を上から一望できる場所には、外国人の団体観光客がわんさか集まっていた。
入り口では一人一本、ミントを配っている。
事前情報として、ここでは激臭がする、というのを知っていたけれども、革の工場だけに、いつも嗅いでいる革の匂いが強くなったような感じなんだろうなあと、漠然に思っていた。
でも、建物の前に来ると、そんな私の感覚がいかに甘かったことか!今までに嗅いだことのない激臭だった。。。
あまりたとえたくはないけれど、「悪いものを食べた」とでもいいましょうか…
とにかく、このミントがなんと役に立ったこと!結局建物を出るまで片時も手放すことはできませんでした。
あ、ミントがあれば全然大丈夫なので安心してください。


配られたミントを鼻に、団体に混ざってさっと中に入ったが、アジア人が他にいなかったので、すぐに中の人も気づき、声をかけてきた。
案内してくれたのは若いAdnameという青年。外に出ると早速眼前にガイドブックで見たまんまの景色。
革製品が作られる工程、この匂いがどこからきているのか、どのようなワークスタイルなのか、などなど事細かに教えてくれる。本当におもしろかった!モロッコの主要都市にはそれぞれ特徴があるんだけど、フェズはその中でも“職人の街”なんだとか。なるほど〜。

貴重な説明をひとしきりしてもらった後で、階下の店に案内される。たくさんの職人がまさに革製品を全て手で作っている。かっこいい。
もともとモロッコへ来たらバブーシュを買おうと思っていたので、彼の案内に引き続きのることに。
バブーシュとは靴(というか、かかとのないサンダル)のことなんですが、先のとがったものと丸いものがあります。この違いを聞くと、どうやらとがっているのはアラビックスタイル、丸いのはベルベルスタイルだそうな。
彼がベルベル人だった(モロッコで出会ったほとんどの人がベルベルだった)こと、もともと丸い方がほしかったことでAdnameも気を良くする。
とても質が良さそうなのを選んだせいもあったのですが、一足450DHと言われると、さすがにひるむ。結局3足購入して3足で350DH!まで値切る。ミントティーも出してもらい、かなり大変な交渉でしたが、最後は「写真送るね!」で笑顔で別れることができた。おもしろかった〜


荷物を置いて向かったレストランはZohra。これも昨日Abdulが教えてくれた安くておいしいお店だ。
入るとそばにフランス人の家族がいた。グルノーブルの辺りに住んでいるみたいで、大黒のことを知っていた。
ロッコはどこへ行ってもスポーツはサッカーばかりなので、やっぱりここでも「こんにちは」と同じくらい「ナカタ!」という掛け声を耳にする。いまやサッカーが日本と世界をつなぐ大事な手段の一つとなっているのだなあと、実感する。
ロッコ料理で私が特に気に入ったのはハリラ。豆の入ったスープです。とはいえ、店や家によって味がだいぶ違うので、一様にどんな味!とはいいきれないのですが、ラマダン明けに飲む食べ物とあって、いかにも体によさそうなさっぱりとした味。辛味は特になく、場所によっては酸味が強く、それが特に美味しかった!豆もレンズ豆のところもあればクスクスをいれるところもあったりします。


メディナにもだいぶ慣れてきたので、またぶらぶらと歩く。買い物したり、呼びかけに応じたり。現地の人は、日本人に声をかけることには慣れっこのようですが、応答されることには慣れていないみたいで、気軽に返事をすると逆にどきどきしてる人もいた。もちろん「うちの店で何か買って」という勧誘がほとんどなのですが、買わなくても楽しい話がたくさんできます。共通して言えるのは、みんなとても優しい!笑顔がとっても素敵でした。道に迷えばどこからともなく声がかかるし、大人も子どもも親切に教えてくれます。心地がいいなあ


夕方、ブー・ジュルード門まで戻って、2Fのテラスがあるカフェへ入った。

ハンマムへ行く前に、少し丘に登って、あらためてフェズの町並みを一望した。
ぎっしりとしきつめた建物の中を一日中さまよっていたんだなあと、どきどきする。

夜はいよいよハンマムです!
場所によって違うのですが、このハンマムでは時間帯によって男性・女性の入浴が決まっています。20時までは女性タイムだったので、まずは私が向かうことに。入り口でAbdulが奥さんを呼ぶと、既に入っていた奥さんがタオル姿で現れ、私の手をひっぱって中へ引き寄せた。
ハンマムは3つの部屋に別れています。奥へ行けば行くほど温度が高くなる。いわば銭湯ですが、浴室はない。いちばん奥の部屋に熱湯と水が出る場所があって、各自バケツでそのお湯/水を汲んで体を洗います。何度も行くのは面倒なので、みんなとっても大きなバケツを5個くらい持っています。
服を脱ぐと(パンツだけははいたままです)、真ん中の部屋に連れて行かれ、まずは娘のソフィに教えてもらいながら体を洗います。といっても彼女はフランス語とモロッコ語しか話さないので、体で教えてくれます。このとき使うのは、通常の石鹸ではなく、ジェルのようなもの。さっと全身につけ、流すと奥さん(ママ)登場。垢すりグローブを手につけ、全身をこすってくれました。ハンマムではみな、この垢すりを行います。続いてシャンプーも、全てママがしてくれました。私はまるで幼い子どものようにママに従って至福のときを過ごしていました。
途中、水汲みくらいはしまっせ、と立ち上がろうと何度もしましたが、そのたびにママが「NO!」と手で私を抑える。ソフィと私とを交互に洗って、さすがに最後は腕が疲れていたようでしたが、最後までほとんど言葉を発することなく、でもとても優しくしてくれました。言葉は通じなくとも、十分すぎるほどその優しさが伝わりました。本当にありがとう!


ロッコの女性は、外で会う限り無表情な印象で、話し掛けてもほとんど答えてくれないのですが、ハンマムでは日本や世界にいる他の女性となんら変わりはありませんでした。おしゃべりが好きだし、下着だってそれなりの嗜好があるし。おもしろかったのは、入れ替えの時間になっても全然動じなかったこと。男性タイムなので出ろと言われても誰も出ないし急ぎもしない。そのうち電気が消えて真っ暗になると、逆ギレする始末。スタッフと大喧嘩になってました。外では男性が「早くしろ」とどなってるし、毎日あれでは大変だなあと少したじたじしました。
ちなみに男性は、垢すりに加え特別マッサージがあるそうです。マッサージといっても私のような気持ちのいいものとは程遠く、ストレッチを100倍痛くしたもののようです。なかなかできるものでもないので是非挑戦してくださいね!