人間と歯

歯を大切に

歯ってなんて大事なんだろう
そんなこと 日常生活で思う人はそうそういない


私とその家族は幼い頃から虫歯が多く
毎年黄色い紙をもらっていた(今もあるのかしら)
家族ぐるみでお世話になっていた歯医者では いつも「お姉ちゃん どうぞ〜」と呼ばれる
苗字だけだと誰かわからないからだ
クラスで一番の人気者だった男子(あえてそういう)は
「歯がきれいでしょう」で表彰されていた


そしていつしか 歯医者が大嫌いになり 怖くなくなった


虫歯になる原因はいくつかあるけれど
その中には「遺伝」もある
でも遺伝なのは 「虫歯になりやすい体質」なのであって「虫歯になる」ことじゃない
だから予防はできたはず
ま 無法地帯の我が家で 「歯を磨け!」と怒られたことは記憶にないので
今の私がいるのだ


そんな私も一人の大人になり
もう決して若くはないけれど まだ“おばさん”とは呼ばれたくないくらい
でも歯だけは自信がない 
今日も大切な歯を失った
もう二度と目を覚まさない歯もたくさんある
今はとても後悔しているし 先が不安でならない


だから最近は 3回歯ブラシの先をとっかえながら毎日やや必死に磨く


帰りたくなくて 歯医者を出て満開の桜を見に行った