スペイン&モロッコの旅−3日目(5/24)

昨日のうちに、アルヘシラス行きのバスチケットを購入していたので安心。
8:30発のバスに乗るべく、ターミナルへ行く。中にあるカフェで朝食をとる。

セビージャのバスターミナル 

アルヘシラスへ向かうバスの車窓から
バスは11:00過ぎにアルヘシラスに到着。直近のフェリーでアフリカ大陸へ渡るぞーと、ターミナルをうろうろする。
入るとすぐ、旅行会社がたくさんあるけど、私達は迷わずフェリー会社のチケット売り場へ。
ちょっとうろうろしすぎたか、11:30発の高速フェリーを逃してしまった(涙)。
アルヘシラス→タンジェは、高速船で1時間半、そうでない場合は2時間半で着くそうです。夏はスペインとモロッコの時差が2時間。
12時発の普通フェリーのチケットを購入し、乗り場へ。相変わらず人が少ないなぁ…
うちらを含むバックパッカ−と、モロッコからの買い物帰りっぽい人と、フランスからの旅行者っぽい夫婦と。あっという間に顔を覚えちゃうくらい。
一応ここでスペイン出国になるのですが、ほとんどノーチェック。写真の照合だけはしっかりしていた。

中へ入ると、この少ない乗客にはもったいないくらいのでかい船!
ほとんどが喫煙できるカフェへ移動し、私達は禁煙のレストラン席へつく。

…船は出ない。それどころか、出航時間を過ぎてもぼろぼろと乗客が増える。予定時刻を30分くらい過ぎたところで、出発もしていないのに入国手続きが始まる…


過去の旅人たちの記録によると、この出入国手続きが結構やっかいだったとか。
ところが、人数も少ないせいか、いたって簡単に、事務的に処理を進めていく。結婚して姓の変わった私の名前も、いともあっさりと旧姓に戻される。「結婚したんですけど…」って言ってみるものの"No problem"…そうですか…


ここまでありがたいほど順調に予定通り旅が進んでいたが、ここでストップ。なんと出航が1時間も遅れた!
ま、それでも余裕見て乗ったので、2時間半で着けば、まだ14時の電車には間に合うわ♪と、モロッコでのプランを立てたり、少し早い昼寝をしたり。
それにしても寒い。
乗客がこれしかいないのに、満載のときと同じくらい冷房をきかせているんだ。寒すぎる。
でも周りの乗客は全然寒そうじゃない。それどころか、Tシャツで元気いっぱい。なんでよ…
しかも、大きい船の割りに、結構揺れるんです。海面を見ても、小さい白波がいっぱいたってる。
約2時間後、ようやくアフリカ大陸が見えてきました!
甲板に出て、強い潮風と日差しを浴びてわくわくする

が、ここからがまた長い。行けども行けども港につかない。。。
結局到着はさらに1時間遅れ、合計4時間半の船旅に。もちろん14時の電車には乗れません。


とりあえず、今日のうちにフェズへ行くすべはないものか、と駅まで向かうことに。
船をおりると、早速タクシーがお客を待ち構えています。相場を頭に入れていた私達は、50DHの交渉には応じず、20DHで決着。


ロッコのガイドブックなどには、注意事項として現地での“ぼったくり”をあげています。
それによって“ぼったくり=絶対悪”のような方程式が完全にインプットされた旅人をちらほら見ました。
確かに法外な値段を言われることがときにはありますが、私達の今回の旅では“のびのびいこう”をスローガンにしました。
あくまでも目的は人との交流にあり、少しぐらい高くても、楽しい思い出が作れるならばいいじゃないか、と。
さっきのタクシーもそうです。実は相場は10〜15DHだったと思うのですが、そのときも自分らの体力と、ドライバーの優しい対応と、これからの期待と、に払うのに、20DHは決して高くはなかった。
目くじらたてて、貴重な旅の時間や、自分の神経、体力、たくさんのチャンスを減らしたくなかった。
本当の値段は、その対象物にだけかかるものじゃないと思って旅に出ました。そして、その通りの旅になりました。
あ、ちなみに1DH=¥13くらいです。


Tanger Ville駅に着くと、17:30の電車があるという。フェズへの到着が23時近くになっちゃうけど、購入。
まだ2時間近くもあったので、少しだけ、タンジェのメディナ付近まで行ってご飯を食べることに決定!
(駅にはロッカーも荷物預かり場所もないので注意です。私達はやむなくしょっていきました。)

プチソッコに面したお目当てのお店は残念ながら休み。迷っていると、近くのカフェから大きな声を出して近寄ってくる人が。なんとおいしいレストランを紹介してやるから着いて来い、という。まだモロッコについて間もなく、事態もあまり把握しきれていないもので、なんとなくついていく。
しかし案内されたレストランは、ひじょーに豪華。メニューを見せてもらうと@100DHの豪華メニューしかない。
そんなにお金も時間もここで食べる食欲もない。あっさり断る。
あ、これがガイドか〜、なんて、後になってこの初体験にニンマリしたりして。


結局、プチソッコに戻って、小さい、食堂とも言えるか言えないかというお店に入った。
お父さんと小学生くらいの息子が二人で頑張っている。単品でもいい、というからタジンとケバブを注文したけど、サラダからポテトから、次々出てくる。あやしいと思ったけど、店主の笑顔と優しさと、おいしい料理にすっかりいいや、という気分になる。それくらいうまかった!

チキンタジン と             ミート(羊)ケバブ
紙製のランチョンマットを敷いてくれる。
お父さんは息子に常に厳しく、でも熱心に指導している。作る2人も、食べる2人(とは私達のことです)も汗だく。でもうまい!おいしい!
初!ミントティーも堪能して(こんなにうまいとは思っていなかったので、絶叫)終了。
なんとなく値段が違う気がしたけど、おいしかったので○。


はじめて降り立ったモロッコ、タンジェ。非常に多くの視線を浴びたけれど、すれ違う人、入るお店、どこでも誰でも親切だった。初めて来た国とは思えないあの居心地のよさはいったい何なんだろう…


さてさていよいよ出発です。

今度は定刻どおりでほっと安心。
ファーストクラスのコンパートメントは8人席。先に来ていた女性が重い荷物を荷台にあげようとしているところだった。
すかさずおっとさんフォロー。
実はチケットを買ったときに、どうも乗り換えがありそうなことを書いてあったので、女性に確認してみる。やはりそうだ。優しそうな人だったので、乗り換えのアナウンスが聞こえたら教えてもらうことをお願いして、話が始まった。


カサブランカで一人暮らしをしていて、家に帰るところだという。それでは、といろいろモロッコのことや日本のことを話す。
その間ずーっと窓の外に広がっていた景色は、この旅一番ともいえる絶景。

西に傾いた太陽が照らす、一面の草原。放牧され、のんびりと草を食べる羊や牛。それを見守り、ときに遊び、ときに家路へと向かう人とロバ。通り過ぎる電車をじっと見ている少年。仕事帰りに市場で買い物をする、ごった返す人々。
今まで見たこともない景色に、言いようのない感動を覚えた。
日本にいたら決して知ることも見ることもない景色。でも確かにこの人々は私達と同じ時間を過ごしてきて、今ここにいるんだ、と知ったらいてもたってもいられない気持ちになった。


カサブランカのTourariと連絡先を交換し、乗り換え駅で別れる。もう一息。


次の電車は結構混んでいたが、ほとんどの人が手前のメクネスで降りていった。
しばし二人きりになったところで、一人の男性が入ってきた。携帯電話で誰かと話し、話し終えるとそばに捨ててあった新聞のクロスワードを始める。
クロスワードアラビア語だったのに興味を示したおっとさんが話しかける。
フェズで生まれ、フェズで育ったという彼(Abdul)に、フェズでのおすすめなんかを聞いてみる。23時に着いてからの宿探しにちょっと不安もあったので。
すると、私達の持っていた地図にはのっていない、おすすめの宿を教えてくれた。なんとなんと!
しかも!モロッコでの楽しみだった一つ、ハンマム(日本でいう公衆浴場です)に行きたいんだといえば、明日自分も行くから連れて行ってやるぞとのお誘いが!私は奥様が連れて行ってくれるそうで。これは心強い!
ハンマムに行くことは決めていたけど、結構不安も多かったので、地元の人といけるとなると、これは百人力。
私達の質問疑問にはなんでも答えてくれるけど、無駄なことは一切言わない、勧めてこない彼に、私達はすっかり信頼していたのでした。


ほぼ定刻、電車がフェズに着いた。
降りるとさっきの彼、Abdulがついて来い、とジェスチャーをする。
ほいほい着いていくと、駅の外にプチタクドライバーの友達が。どうやらおすすめしてくれていただけでなく、先回りしてタクシーもホテルも全て連絡をつけておいてくれたらしい。これはなおありがたい!
私達は何の苦労もなく、夜のフェズの街を駆け抜け、ホテルへ到着することができた。Abdulと明日のハンマムの約束をして。
ホテルもタクシーも、先に確認しておいただけの値段だったし、とても親切な人ばかりだったし、今晩は本当にAbdulに会えてよかったよ、と心から感謝したのでした。


タクシーがホテルの近くにくると、一人の男性が乗ってきた。英語がぺらぺらだ。
どうやらホテルのマネージャーの知り合いらしい。最初はいい人だと思っていたんだけど、チェックインして早々、「モロッコの人家を見せよう」なんて言って自分の家に私達を連れて行く強引な人。
疲れていたけど興味もあったりして、ついていってみる。
家にはたくさんの子ども達が寝ていたのに、私達のせいで起こされていた。
彼はとにかくしゃべる。ほとんどは自分のこと。その間に子どもにちょっかいを出したり、長女にハリラを作らせたり(これがものすごくおいしかったんだけど)。日本の遊びも知ってるぞ、と娘にあそばせて見せたり。
そして何なら明日、フェズを案内してやろう、夜は家でクスクスを食べてくれという。
おいおい、そこまではしたくないよ、と帰り際しっかりお断り。しかし「いいからいいから」と聞かない。


部屋に戻ると、おっとさんははなから疑っていたみたいで、絶対に怪しいという。動きが絨毯屋のパターンそのものらしい。
確かに前のAbdulと比べるとかなりしつこいし、強引だ。しかも、彼もフェズで生まれ育ったという割りに、Abdulとは全く面識がないことがわかった。さよならモハマッド。